イノベーションストーリー

story1

ライサス

「Susceptibility」「Smart」「Simple」「Support」で
臨床現場を支える

ライサスは薬剤感受性試験自動機に必要な要素「菌液を取り、培地に入れる」、「試験プレートに分注する」、「培養」、「発育判定」、「試験成績の演算」というすべての行程を自動化した装置です。これまで初号機と、それをバージョンアップしたライサスANYを市場へと送り出してきました。
一方で、その「サイズ」、「メンテナンス性」そして「操作性」に課題も上がっていました。そこで、これらの課題を克服するため4つのSすなわち「Susceptibility」、「Smart」、「Simple」そして「Support」の実現を目標に開発を進めて完成したのがライサスS4です。
ライサス初号機/ライサスANYという「正解」がある以上、新しいライサスS4の試験結果も同じである必要があります。新しいものを作っていく過程で、旧製品の存在は乗り越えるべき壁でもあり、改善への糸口にもなりました。
患者への診断結果を左右する重要な検査を担う機器として「医療現場に自信を持って送り出せる製品かどうか」。常に問いかけながら今後も改善・検討に取り組んでいきたいと考えています。

K.T

技術部 製品カスタマイズチーム

K.T

story2

GEテスト イムノクロマト-CD GDH/TOX

既存技術を組み合わせ
簡易な操作性を実現

GEテスト イムノクロマト-CD GDH/TOXは、クロストリジウム ディフィシル(CD)という菌を検出する製品です。競合製品との差別化による市場シェアの獲得を目指し、他社にはない簡易な操作性を付加価値として製品開発を行いました。
開発時は、これまで単項目で利用していた技術を組み合わせることで、複数項目の高感度化を実現することに成功しましたが、組み合わせだけでは特異性が悪く改善が必要でした。新たな方法を模索するなかで改善方法の検討に行き詰まる場面もありましたが、過去に不採用となった条件を改めて見直すなど試行錯誤を重ね、目標性能を達成することができました。
競合他社に類似品があったことから開発開始当初は社内から反対の声もありましたが、簡易な操作性を求める声はユーザーからも多かったため、その重要性に共感してくださった方々の支援もあり、無事製品化することができました。今後も性能改良そして新しい測定技術開発により、幅広いニーズに応える製品の開発を目指していきます。

H.S

研究部 新技術チーム

Y.S

story3

β-グルカン測定試薬(ファンギテックGテストES)

中小規模医療機関での利用ニーズに対応

2016年に発売したβ-グルカン測定試薬(ファンギテックGテストES) は一度の検査で使い切ることのできるシングル測定の試薬です。この製品の開発以前から当社では別のβ-グルカン測定試薬を販売しており、多数の医療機関で採用いただいていましたが、大量の検体を一度に検査するタイプの製品であったため、中小規模の医療機関での活用には課題がありました。そこで、1回1回使い切りできるシングル測定の製品を目指し開発を始めました。
製品を完成させるには試薬だけでなく、専用の測定機や制御ソフトも同時並行で開発する必要がありました。すでに発売されている製品と全く同じ性能を再現することを前提にし、さらに利便性を追求するために、製品とその測定機・制御ソフトの3方向から改良を重ねました。苦労した甲斐があって、最終的には非常に使い勝手の良い優れた製品として世に送り出すことができました。今後もユーザーのご意見を聞きながら、改良を続けていきたいと考えています。

T.Y

技術部 製品カスタマイズチーム

T.Y

story4

コンパクトドライ

だれでも、簡単に、
微生物検査を実施できる製品を目指して

食品工場などで行われる微生物検査は、時間と手間のかかる煩雑な作業が多く、培地の調製によって検査結果が左右される非常にデリケートな検査です。そこで、だれでも簡単に、すぐに検査にとりかかれる精度の高い培地を開発できないか、と考え開発した製品が簡易培地「コンパクトドライ」です。
従来法では培養容器(シャーレ)に検査試料を入れ、一定温度に保温した培地を流し込み、混釈操作により均一に分散させ、寒天が固化するまで待つというところまでが検査の一連の作業でした。それを検査試料を乾燥培地に滴下するという動作のみに短縮するためさまざまな方策を検討しました。
コンパクトドライは、操作の簡便性のみならず、保管方法が容易であることから、現在世界のさまざまな地域で使用される機会が増えてきました。まだまだ、検出が難しい菌も多くありますし、いろいろな検査対象での要望もあります。これからも人々の健康と安全のために、より多くの人に喜ばれる製品を提供したいと思っています。

S.M

技術部 製品カスタマイズチーム

S.M

story5

細菌培養培地

顧客ニーズに応えて
多種多様な細菌培養培地を開発

当社の主力製品である「細菌培養培地」は幅広い製品ラインナップでさまざまな臨床検査分野に貢献してきました。各製品の開発・改良には市場ニーズの把握が非常に重要です。実際に製品を使用する方々のご意見が、新たな製品開発の糸口になるからです。「どのような製品が要望されているのか」「どのような点にご不便を感じているのか」をキャッチし、スピード感を持って開発をすることで、多様化する市場ニーズに応えています。
現在、臨床分野では検査の効率化・迅速化が求められています。今後これらの要求に柔軟に対応できる検査法として、培地の品目・形態の開発のほか、培養から検査・測定までの効率的なシステム化までを行っていくことが微生物検査試薬メーカーの使命と考えています。

K.O

技術部 製品カスタマイズチーム

K.O

story6

L-スイトロール

既存製品のコンセプトを刷新し、
精度管理の質を向上

当社における精度管理用試料の開発には以前から培われた製品基盤があったため、今回の開発では「何をどう変えるべきか」を検討することから始まりました。
開発当時、動脈硬化など成人病発症のリスクファクタとして脂質成分が注目されていたことから、脂質成分の強化を新製品の目標に定めました。
開発のターニングポイントとなったのはL-スイトロールという製品に、「不確かさ」を付与したことです。「不確かさ」の大きさは真値の存在する可能性の範囲を示すと同時に、自社の技術水準を示す数値でもあることから、この値を小さくするために積極的に成分の安定化に取り組みました。先駆者が培った過去の製品のコンセプトを変更することには葛藤もありましたが、従来製品の殻を破ったことで、施設間差の縮小と長期の成分値の安定化を実現し、精度管理の質の向上に貢献するできました。これは、会社にとっても私たち開発担当者にとっても、大きな出来事だったと思います。
今後は、コストパフォーマンスの高い製品開発、そして日本国内にとどまらず、世界的な製品展開を目標としています。

T.M

技術部 製品カスタマイズチーム

T.M